HSPという「気質」のはなし
今日はわたしにとって、ひとつのとっても大事なことが分かった日だ。忘れないように、ここに書いておきたいと思う。
きっかけは、先日、彼氏さんと某夢の国に行った時だった。かなり前のことになる。
夢の国ではあらゆるアトラクションが稼働しており、特にシーでは定期的に象徴とも言える火山が噴火したりする。人工的な地鳴りの音がスピーカーから流れたりする。
わたしはそれが苦手だった。いや、正確に言うと、得意苦手などの意識の外で、体が勝手に反応してしまうのだ。地鳴りの音にびくんと肩が動き、噴火の音に横にいる彼氏さんにしがみつく。そうして何故か片耳を塞げば大丈夫なので、火山の近くにいるときは片耳を塞ぎながら歩く。
自分で異様な光景だと感じた。確かに夢の国は楽しい場所で、それを疑っていないのに、自分は片耳を塞ぎながら歩かないといけない。両耳で受け止めた日には、しばらくばくばくと動く心臓とともに過ごさないといけないからだ。その結果、数時間後には心身ともに疲れ果ててしまう。せっかく旅行に行ったのに音に疲れて途中で燃え尽きてしまうことは、過去に何度もあった。お祭りなどでもそうだ。
特にスピーカー音は、自然音にはない刺激を感じて厳しかった。おそらく録音されたデジタルな音は、アナログな音を加工しているので、どうしてもそぎ落として尖った感触に仕上がってしまうのだと思う。それを大音量で流すとなると、更にその尖りが突き刺さって気になってしまうのだ。普通の声とメガホンを通した声の違いを想像してもらえれば分かりやすいだろう。
どうして自分はこういう体なんだろう。これが、自分への違和感が強くなったきっかけだった。
「過敏」という言葉がまっさきに頭に浮かんだが、今までの人生で特にそうなったきっかけもなかったので、いまいちしっくり来なかった。打ち上げ花火の音が子どもの時から苦手だったし、どうにもビビりだった。出来事によりつくられた特性ではないのだ。
分からないまま時は過ぎ、そして昨日。
わたしは性格診断テストをしていた。よくツイッターで流れてくる16の性格に自分を分けて貰うあれだ。
わたしは内向的と外向的がいつも中間でブレがあり、その日はINFJという結果が出た。性格診断は通過点なので軽く流すが、信念を持った理想家という、わりと珍しい性格らしい。
じゃあどういう性格なのだろうと、ふと気になったわたしは、グーグルで検索をかけた。そうして出てきたのがこちらのnoteだ。
https://note.com/___yurari/n/n8342963cd07e
こちらの記事を一通り読みおわり、該当者が少ないゆえの共感になるほどと思っていたところで、この方のプロフィールが目に入った。INFJ/HSPとある。INFJは性格診断の性格なのだろうが、HSPとはなんだろう。
気になって検索をかけた結果、出てきた記事の中で分かりやすかったものを紹介します。こちら。
https://www.nippku.ac.jp/faculty/04/column/hpstowa/
こちらの記事でも触れられているが、HSPとは「気質」のこと。正確にはハイリーセンシティブパーソン、「人一倍繊細な人」という意味の頭文字を取った言葉だ。注意すべきなのは、病気ではないし、後天的なものでもない。
例えば、学生時代に周りから悪口を言われて、内気になってしまった。これは環境による変化であり、HSPではないようだ。
例えば、職場でうつになってしまい、それからは人一倍敏感に周りの顔色をうかがうようになった。これも変化によるものなので、HSPではない。ただし「HSPの特性で自己肯定感が低くなりやすく、うつになりやすい」ということはあるそう。
さて、そもそもHSPとは何か?
上の記事にもあるが、HSPとは、以下の4つの特徴を持った人のこと。わたしの体験談を交えながら説明していこう。
○考え方が複雑で、深く考えてから行動する
つまり、「考えるよりまず行動」「行動してから考える」という人は、HSPに当てはまらないということだろう。
わたしは新入社員として働いていた時、とにかく人に迷惑をかけないように気を配って行動していた。その結果、人に質問するにしても、発言するにしても、素早く返答をすることがとても苦手だった。進捗会議の時は前もって、あれを言ってこれを言うと頭の中に大体の台本を作っていた。
そしてわたしのブログに来てくれる人はご存じかと思うが、わたしは考察が好きだ。人の行動や感情の複雑性を深く考えることに楽しさを感じる。こういうのも当てはまるのだろう。
また、例えば道に石が落ちているとしよう。本来は「石が落ちている」だけで済ませられる話だが、「つまずく人はいないかな」「こんな小さいと近くの猫が間違えて口にしないかな」「それなら退けといた方がいいかな」と考えを発展させてしまう人は、これに当てはまるだろう。
○刺激に敏感で疲れやすい
つまり、渋谷のクラブで夜通しパーリナイ出来る人は、HSPに当てはまらないということだろう。
わたしは幼い時から驚きやすく、よく「ビビり」や「リアクション芸人」と言われていた。中学の時のあだ名は「次世代の出川」で、よく男子達に大声で話し掛けられ驚いた大声を返していた。これだけ書くといじめみたいだが、楽しい学生時代だったので問題はない。
良い刺激にも敏感だ。美しい芸術には感激してその素晴らしさを1週間は引きずるし、好みの創作を見た時には感動しすぎて腹痛になったりする。感動しやすい分心の動きが大きいので、人より疲れやすいということなのだろう。
○人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
これはとても分かりやすい例がある。自分が席に座っているときに、隣の人が怒られた時の自分の反応だ。
まるで自分が怒られているような気がして、自分は関係ないのに傷付いたり胸やお腹が痛くなったりするのなら、これは当てはまると言えるだろう。そして、意識しなくても他人事に切り離せるなら当てはまらないと言えるだろう。
また、道端で何もなさそうなのにうろうろしている人に対して「あの人、困っているのかな?」「あの人、なんか怪しいな」と思ったことがあれば、人の気持ちに敏感であるということで、当てはまるだろう。
「人の気持ちに共感」とは、「わかる、そういうのあるよね〜」と言うことではなく、目の前で悲しんでる人がいたら自分も悲しくなり、怒られている人がいれば怒られているな、つらいだろうなと想像上のその人にシンクロしてつらくなるということだ。
○あらゆる感覚がするどい
これは冒頭に書いた夢の国の話がまさに当てはまる。
人間には視覚、味覚、聴覚、触覚、嗅覚という五感が備わっているが、HSPは人よりそれが敏感にはたらく。映画の爆発の音がうるさく感じる、満員電車の人のにおいがきつく感じる、大声にびっくりする、PCや蛍光灯のまぶしさが苦手でひどいと頭痛が起こる、枕や服の肌触りの良さが気になる、繊細な味わいの食べ物が好きでにおいや刺激の強い食べ物は苦手……など。ちなみにわたしはすべて当てはまる。
わたしはあつまれどうぶつの森を楽しんでいるが、レンガや石畳風のマイデザインを地面に敷くのが苦手だ。と言うのも、その上を歩いてもレンガや石畳の音がしなくて、耳に違和感を感じてしまうからだ。そういう五感をもとにしたこだわりがあるのなら、当てはまると言えるだろう。
この4つがすべて当てはまった人は、HSPと言える。逆に3つまで当てはまったとしても、すべてでなければHSPではないようだ。
わたしはこれを見たとき、とても驚いた。この妙に敏感な体質をしっかり研究している人がいることも、体質に名前が付いていることも。世界の広さに驚かされた。
このHSPの研究は今も進んでいるらしく、最近、このHSPの中でも内向的、外向的に分けられたり、刺激を求めるか求めないかで分けられたりしたらしい。そして色々見た結果、わたしは厳密にはHSPではなく、HSEだということが分かった。詳しくは次回にでも書こうと思う。
個人の個性はあまりカテゴライズされるようなものではないと思っていたが、悩まされていた自分の体質に名前が得られると、案外安心するものだ。
そしてこの体質は悪いところばかりではなく、良いところもある。五感が敏感ということはおいしいものをしっかり楽しめるし、良い音楽をしっかり味わい深く聴けるし、きれいな景色に人一倍感動できる。芸術を楽しめるのは良いことだ。
深く考えてしまう、深く感じてしまうということは、深くまでその面白さに浸れるということでもある。冒頭から悩みの話をしたのでネガティブに感じられてしまうかもしれないが、基本楽しく暮らしている。
……ただやはりと言うべきか、たくさんの人が忙しなく隣で働く会社員は合わないみたいなので、自分の身の振り方は考えたいと思う。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
気質であるなら楽しく良いところを生かしたいものですね。HSPか分かる診断もありますので、こちらもどうぞ。