次は戦場で会いましょう

かんがえたことを書き記す。

国勢調査ってたいへんだのはなし

国勢調査。オリンピックよりもスパンが長い、5年に1度のビッグイベントである。

今回、諸事情あって、国勢調査に少しだけ関わることになった。ちなみにわたし自身は調査員ではなく、調査員になるような仕事に勤めている訳でもない。身バレが怖すぎるのできっかけは諸事情だったと伝えておく。

今まで実家暮らしだったので、わたしは国勢調査を実施したことはない。国勢調査って何?くらいから始まった人間だが、関わるうちに大変な面、どうしようもない面も見えてきた。今回はそういうところを、少しの体験談とともに書き留めておこうと思う。

 

そもそも国勢調査って何か?何を調査するんだ?

ものすごく簡単に言えば、「そこに誰が住んでいるのかを確認する調査」。日本にはたくさんの家やアパートがあるが、そこに何歳の人が住んでいるのか、何人で住んでいるのか、家の代表は誰なのか……を調べるのが、国勢調査の目的である。

ここで疑問を持つ人もいるだろう。「でも、住民票があるじゃないか。住民票を見れば、そこに誰が住んでいるのかなんて一目瞭然だろう」と。

その通りなのだが、そううまくはいかないところを調査するのが、国勢調査の目的だ。

 

例えば、その家には80歳のおじいちゃんが一人で住んでいた。住民票ではその家に住んでいることになっている。

しかし、3年前、おじいちゃんは腰が悪くなり、一人で住めなくなってしまった。別に住んでいた息子の家で過ごすことにした。

本来はそこで住民票を息子の家に移動させなければならないのだが、その手続きをめんどうだからと怠っていた。もしくは手続きの存在を忘れていた。おじいちゃんの住んでいた家は今は空き家なのに、おじいちゃんが住んでいることになっている……。

 

例におじいちゃんを挙げたが、これは老若男女誰でもあり得ることだ。引っ越しだけではなく、施設に入所したりするパターンもある。

こういうことがあり得るので、定期的に住民票とは別に、「いま、実際に住んでいる人」を確認する必要がある。

これが国勢調査だ。「住民票通りに人が住んでいるのかの確認」とすれば分かりやすい。

国勢調査は家にわざわざ自分の足で出向いて、そこが空き家ではないか確認し、何十世帯に配るために重い書類を肩から提げ、一件一件呼び鈴を鳴らして回っている。住民票はあくまで参考にしかならないからだ。「ここはこの間○○さんが住民票の登録に来たから、ここは調査しなくてもいいよね」は一切通用しない、厳しい調査なのだ。

 

ここで国勢調査の書類を受け取った側の話に変えよう。

国勢調査の書類?住民票があるんだから、別に出さなくても良いでしょ」……上の文章を読んだ人ならば、これが通用しないことはお分かりいただけるだろうか。

そう、国勢調査の書類を出さなければ、たとえ住民票が正しいとしても「そこに人は住んでいない」と見なされるのだ。なぜなら、これは「住民票通りに人が住んでいるのかどうか」の調査だからだ。

人が住んでいないと見なされればどうなるだろうか。人が減ったぶん、その世代に対する施策の需要が減り、結果的に市や国からは見放されることになるだろう。人が住んでいなければ考えるだけ意味のないことだからだ。

 

それくらい大切なものだから、調査員は一件一件足で回らないといけないとも言えるのだろう。漏れは許されないからだ。

インターネット回答の方法も出来たが、まだまだ回線を引いていない家もある。インターネットを引いていないから、ネット回答が簡単だって言われても、よく分からないからうちは郵送で……という家もある。わたしの祖父はそうだった。国勢調査のために回線を引いてくださいねとも言えない。

そうなると平等に、やはり書類は手渡しで、となってしまう。少しだけ国勢調査に関わらせてもらったが、ここは一番難しいところだと感じた。

調査員側も、この令和の時代に足を使った調査をやりたいという人は……いるのかもしれないが、おそらく多くはないだろう。全部ネットにしたら、調査員は足を使わず回答側は玄関に出る手間が省けてWIN WINなのだが、上記の関係で全部ネットにするのは非常に難しい。

 

であれば、どうするか?

調査側に、回答側が「ネット回答の需要はあるんだぞ」というのを見せつけるしかないだろう。

これで一番怖いのは、せっかくネット回答という令和の時代に便利なものが出来たのに、誰もネット回答せず、郵送回答ばかり送られ、「あ、ネット回答作ったけど無駄だったわ。IDとかパスワード作るのも時間の無駄だし、次回から全部郵送にしよう」と判断されることだ。

国勢調査も、多くの誰かの時間を割くことで出来ている「仕事」だ。無駄と判断されれば次から実施しないのは当然のことだろう。この調査自体は上記の理由で必要なものだから、どう実施するかを考えるしかない。

 

わたしたちのためにも、時間を割いて各世帯に重い書類を提げて歩き回り、見知らぬ人の家の呼び鈴を仕事のために鳴らさないといけない調査員のためにも、ネット回答の需要を伸ばしましょう。というのが、この記事で言いたかったことです。

 

……国勢調査ってたいへんだ。

だからこそ、この記事を書いた。このブログを読んでいる方はネット回線は確実に引いていると思うので、

 

みなさん、国勢調査にネット回答しましょう。10月7日までですよ!

 

ここまで読んでくださりありがとうございます。

世界は、誰かの仕事でできている。改めてそう思わされた数日でした。