次は戦場で会いましょう

かんがえたことを書き記す。

目的と共感

「男性は目的を求め、女性は共感を求める」というのは、昔からよく言われている。どういう理論でとか、どういう仕組みでとかはあまり詳しくないですけど、確かに日々を過ごしているとそう感じることは多い。

それで定義すると、わたしは目的色の強い女性で、彼氏さんは共感色が強い男性だなあ、とよく思う。彼氏さんは、いわゆる草食系男子というやつに、結構近い性質を持っている。いつもおっとりしていて、角が丸い。
たとえば、わたしは普段「やらかす」ことが多いので、うっかり転んだりうっかり火傷したりうっかり物を落としたりする。彼氏さんはそんなとき決まって、「大丈夫?」と心配する。そこまではよくある話かもしれないけど、そのあとに、「痛い?」「熱い?」と、今わたしがどんな状態か確認してくる。
これはわたしが彼とお付き合いをして、トップスリーに入るくらい驚いたことだ。仮に「ちょっと痛い」と言ったら「痛い?痛いよね」と、「つらかった」と言ったら「つらいよね」と共感してくる(熱いときは大抵大丈夫と返してしまうので割愛)。
わたしは、そういうところは、あまりない。相手が「つらかった」と言ったら相槌は打つかもしれないけど、どうしたら目の前の人がつらくなくなるのかをつい考えてしまう。解決方法に向かってまっすぐ歩き出してしまう。


ここは、彼を見習うところだなあと強く感じるところだ。実際、わたしはそうされて助かった時があった。


とある日、彼氏さんと車で出掛けたとき、パンクをしてしまったときがある。意図しないタイミングで一瞬にして空気が抜けてしまい、急いで近くの駐車場に車をとめたものの、あと少し判断が遅れていれば後ろから衝突されかねなかった。
いろいろと悪いことが重なり、レッカー車でパンクしてしまった車を取りに来るのが遅れ、冷たい雨が降りしきる中1時間くらい車の中で待っていた。
正直な話、その時とても怖かった。真っ暗な夜に、自分たちだけが取り残されたようだった。彼氏さんはそこまで慌てずに来るのを待っていたけれど、わたしの胸の中には大粒の不安がどんどん降り積もっていた。
「大丈夫?」
見かねた彼氏さんが声をかけてきた。
困っている場合じゃないから、ほんとうは大丈夫と返したかったけれど、体の中はまったく大丈夫じゃなかった。思わずぽつりとこぼしてしまった。
「まだちょっと、さっきのでドキドキしてて……」
「怖かった?怖かったよね、何か暖かいお茶飲む?」
頷いたら、彼氏さんはすぐに車を出て、自販機に暖かいお茶を買いに行った。
これは、「向こうも怖かったんだなあ、同じで安心した」という共感とは、少し違う。向こうが、音もなくわたしの気持ちに寄り添ってくれるような、そんな共感だったように思う。
怖かったということを聴いてくれた上で、自分のために動いてくれたのが、とても嬉しかった。共感してくれた上で、目的のために動いてくれたのだ。持ってきてくれたお茶は、体も心もゆっくりと暖めてくれるような、ほっとする味だった。
そしてこの出来事で見習いたいことはもう一つある。それは、また今度話そうと思う。


ここまで読んでいただきありがとうございます。
たまには、「両方あるってすてきだよね」という話があっても良いよね。