次は戦場で会いましょう

かんがえたことを書き記す。

暇をもてあまし、味わい、かみしめる

ドラゴンクエスト11Sの体験版がようやく終了した。

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魔法を使える姉妹が仲間になったところで、冒険の体験は終わりを迎えた。一体いつになったら体験は終わるのかと、かれこれ8時間ほどボタンとスティックを懸命に動かしていた。かつての30分もせずに終わる体験版など、時代遅れになってしまったのだろうか。そんなレベルのボリュームだった。

終わりを迎えて思ったのは、とにかく登場人物ひとりひとりのボリュームがすさまじく、町や物語としての作り込みもとても丁寧だということ。

酒場の前で「1杯だけ飲もうかなあ」と悩んでいる荒くれ、「暇じゃのう」とベンチに座って呆けているおじいさん。良い感じ!と石造りの台所でソーセージを焼いていたお姉さん。これらの人物は、主人公と何も関係ない人達である。彼らから特に目的地の情報をもらえることはないし、魔法を教えてもらえることもない。ただの日常の「ぼやき」のようなものをふきだしに浮かべているに過ぎない。

しかしそれらの人物を見かけるたびに、その町が生きているような感覚に陥るのだ。朝に起きて、昼にごはんを食べて、夜に眠る。そんな町の光景を想像させてくれる。最早主人公にとって有力な情報を教えてくれるだけの、装置としての「村人A」は絶滅危機種と化した。

 

モンスターにしてもそうである。彼らはフィールドにいる時、3Dモードであれば、突然出てくる訳ではない。草むらでゴロゴロ寝そべっていたり、ぷにぷにと道を歩いていたり、時には数匹で固まって行進したり……きままなスローライフでも過ごしているようなモンスターの姿がそこにある。彼らに向かって容赦なく斬り掛かってしまえば、まるでこちらが悪者になったようだ。

時には遠くから、人々やモンスターの姿を眺め、その生活の姿を観察するのも楽しい。朝にきりかぶおばけのすこやかな寝顔を見れた時は、思わずそのあまりのすこやかさに笑ってしまった。きちんと目を瞑って寝ているのだから、可愛らしさすら感じてしまう。

かつて、「エンカウント」して、「たたかう」をして、イラストが点滅して、画面からパッと消えるだけだったモンスター達。丸みと温かみのあるデザインを生かすように、その生きる姿を見せてくるようになった。このような広大な世界観に包まれながらゲームを進める感覚は、据え置きゲームならではだろう。

 

後ろをついてくる仲間達も、また生きていることを感じさせる。勇者が立ち止まっていると、赤い帽子の女の子は、暇そうに辺りを見渡したりしている。それでも急かしたりしないのは、相手が勇者だからなのだろうか。これが盗賊の青年になどなったら、文句のひとつでも飛んできそうだ。

戦闘中、敵を倒す度に「ナイス!」「やった!」と喜び、回復をすると感謝してくれる仲間達。キャンプをすると、ナイフの手入れをしたり、暖かい飲み物を飲んだり、思い思いに憩いの一時を過ごす仲間達。このような旅の思い出の重なりが、今後どのように物語へと影響していくのか……。それは、製品版でしっかりと確かめるとする。

 

攻撃と回復魔法をそれぞれ使う姉妹、故郷と幼馴染み、運命を変える時間旅行、まほうのグッズと旅の扉。今までのドラゴンクエストのエッセンスを故意に集めてきたような懐かしさも、随所に感じています。炎が燃え盛る大地を抜け、砂漠を駆け抜けながら、次のステージに向かうとしよう。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

たくさん寄り道しながら、隙間を味わっていきます。